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2017年04月号子どものココロ

子育て情報の見極め方


  「弱毒性」と「強毒性」の子育て情報

 間違った情報や説明不足の情報の中には“弱毒性”のものもあれば、私たち専門家から見て明らかに子どもに悪い影響を及ぼす“強毒性”もあります。
 「マンションの高層階に住むと子どもの発達がゆがむ」などのフレーズは、たとえ噂を信じてマンションから引っ越してしまったとしても(実際その例はありました)、子どもにはそれほど害はありませんから“弱毒性”です。しかし、早期の教育が大切だからと、幼児のうちから過剰なドリル学習等に取り組ませることは、子どもの発達に悪い影響を与える可能性があります。つまり“強毒性”があると言えます。本来、幼児にドリル学習等をさせるのであれば、子どもの発達の状況に合わせて、工夫しながら行う必要があるのです。

  ブームにのった子育て情報

 さまざまなブームも子育て情報に影響を及ぼします。たとえば、脳科学との関連を謳う子育て情報もその一つです。確かに脳科学は日々進歩が著しいのですが、脳についてわかっていることは未だわずかであり、脳の仕組みから子育てを語ることには無理があります。研究者でない人たちが自分の主張を正当化するために、あるいは何となくあてはまり話題になりそうだからと、脳科学のデータを使っていることもあります。
 「テレビやビデオを見ると発達がゆがむ」「ゲームをすると脳がおかしくなる」「親の愛情が不足していると子どもが爪かみや指しゃぶりをする」「一人っ子はわがままになる」「三歳までに習い事を始めないと遅い」  よく見かけるフレーズですね。しかし、それらは本当ではなかったり、誇張であったりします。日本人は健康・病気やダイエット、子育てに関する情報を信じやすい傾向があるのですが、「〇〇しないと、××になってしまう」といった極端なことは信じないようにしましょう。極端な子育てをして、子どもに良い影響があった例はないのです。
 

  それでは何を信じればいいのか?

 家庭の中に複数の物差しがあると、子どもに耐える力がつきます。たとえば、両親が同じようにテストの成績だけをほめていると、物差しは成績の良し悪しだけになってしまいます。成績が下がると、子どもは「自分はダメだ」と落ち込んでしまい、がんばる意欲がわきません。一方、母親はテストの成績が良いとほめてくれる、お父さんはスイミングをがんばるとほめてくれるといった家庭では、テストの点数が悪くても子どもは「全部ダメだ」とはならず、「スイミングは進級したから」とふんばることができます。これこそ「第二の母親」ではなく、「第一の父親」たる大きな役割です。

 

筑波大学 医学医療系教授
教育学博士 臨床心理士

徳田 克己先生


子どもたちが笑顔で生き生きと過ごせることをめざし、研究・実践に取り組む。幼稚園や保育所、子育て支援施設を回り、発達相談に応じている。最近はディズニー映像の教育的効果や「クレヨンしんちゃん」の分析などの実践研究を手がけている。保護者を対象にした講演会や「お父さん講座」なども好評。

 
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